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エッセイ・ノンフィクション・その他2007


こぐこぐ自転車/伊藤礼       丑三つの厨のバナナ曲がるなり/坊城俊樹


こぐこぐ自転車/伊藤礼

 

大学教授を定年になる頃に自転車通勤を始め、自転車生活にどっぷり浸かってしまった1933年生まれの70代壮年が、東京を縦横に走り、高齢の自転車仲間たちと房総、北海道まで足を伸ばした記録を綴る自転車エッセイ。

一日100kmくらいの走行はしてしまうらしく、大したものである。箱根を「押し」で登ったり、碓氷峠登坂を志すも、途中で体調をおかしくしてタクシーで引き返したりという失敗はあるが、普通の高齢者では考えられないくらい活動的。

ユーモラスで飄々としてへそまがりな文章はいかにも東京っ子という感じがして楽しいが、「〜のであった」という文末が多すぎて、使い方が効果的ではない。作家・伊藤整の子息だそうで、文才を受け継いだのか受け継がなかったのか・・・(笑)。

この人、一度NHK教育の福祉関係の番組で自転車に乗っていたのを見たことがあるが、歌舞伎役者のような、実に端正な顔立ちのおじさんである。見た目スマートでかっこよく、長距離を走れるほど健康で、まったく高齢化社会のお手本のような人だ(笑)。











丑三つの厨のバナナ曲がるなり/坊城俊樹

 

著者は高浜虚子の血を引く俳人で、俳誌「花鳥」編集長である。俳句の保守本流にいながら、風雅な花鳥諷詠のみを教条的に主張する俳壇に懐疑的な目を向けているのが面白い。

著作名になっている句自体かなり奇をてらった感があるが、気分は出ているし楽しい。ご本人の人柄も飄々として面白い人である。伝統は踏まえつつ、伝統のみを金科玉条のようにしている俳句主流派には飽き足らないのであろう。俳句は大衆の文芸であるとしている。 無限大でかつ狭小な五七五の壺にぎりぎりのところまで己を詰め込み、そこにポンと日本の美(季語・季題)を放り込む。それが蔓を伸ばし根を張り、花を咲かせ鳥を飛ばし蝶を舞わせ、それで壺が一杯になった時に俳句が完成するという主張は、俳句はやらない自分などにも納得させられるものだ。

日本人が共通してイメージを喚起できる季語には1300年の積み重ねがあるのだから、これを味方に付けない手はないという訳だ。こう説かれると、高齢者の道楽と思われがちな俳句に新たな生命が感じられるというものである。

エロス、食、音と言ったものをキーワードに闊達に俳句を語り、奇天烈な論理を展開する。まことにアバンギャルドで楽しい俳句エッセイである。

因みに坊城という姓は宮中の歌会始の読み手として名前を聞いたりするが、やはり元々は和歌の家であるらしい。そこに虚子の孫が嫁に来たらしく、俳句の家に変わってしまったようだ(笑)。














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