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Libro2009インデックス


晴れたらライカ、雨ならデジカメ/田中長徳

写真家でカメラコレクターで熱烈なライカ愛好家である著者が、銀塩カメラとデジタルカメラの長所短所を論じ、実践的なアイデアも指南してくれるカメラ本。

著者にとってデジタルカメラは万能実用機械であり、趣味や楽しみの道具ではないようだ。楽しみを与えてくれる趣味の道具が銀塩カメラであり、なかんずくライカがその最高峰ということなのだろう。晴れは「ハレとケ」のハレでもあるのだ。

デジタルカメラが実用機械であることの例証として、古いデジタルカメラには価値がないことを挙げている。使用に耐える銀塩カメラなら、古ければそれだけ骨董的な価値も出てくるわけだ。ただ、汎用デジタルカメラが世に出てせいぜい20年くらいだし(80年代後半、スティングがCMに出演していたカメラで、フロッピーに記録するものがあったことを記憶している)、あと50年も経った時にはどうなっているだろうか。

デジタルカメラしか知らない世代が銀塩カメラの扱いの面倒さに楽しみを見出し、若者のあいだでライカがちょっとしたブームになっていることなどを見ると、銀塩の未来も決して暗くはないのかも知れない。mixiのコミュニティに女子ライカ部があり、著者はその顧問になっている由。

集合記念写真を撮るために路上を混雑させている輩には「撮ってあげましょうか」と申し出るのが渋滞解消の早道というのも面白かった。まさかチョートク氏が撮影しているとは思わないだろう(笑)。

そういえば「うめめ」の梅佳代も町中で写真を撮り合っているような夫婦がいると自ら申し出るそうだ。いい話だなぁ(笑)。



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