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Libro2009インデックス




 

へんないきもの三千里/早川いくを

奇妙な形態や生体を持つ生物を面白おかしく描いた「へんないきもの」の著者による生き物ファンタジー。いわゆるバイオファンタジーのような遺伝子工学的なものではなく、へんないきものたちが擬人化されていて可笑しい。

ビジネスエリートの両親(ただし仮面夫婦)を持つ芦屋ユカリは、ファッションと同級生のカズヤくんに夢中のやや小生意気な小学六年生である。恋が叶うおまじないマニアでもあり、古書店にあったまじないの本の通り、爬虫類マニアの兄のコレクションであるカエルの体液を舐めて「へんないきもの」を巡る旅に放り出され、蛛に食べられそうになったり、人間の体内で免疫細胞と戦ったりした挙げ句に海中に流れ着き、人間界に帰るべく、ギンポ(頭は軽いがお人好し。上地祐輔が思い浮かぶような好キャラで、友達となったユカリを最後まで気遣う)と共に珍道中を繰り広げることになるのであった。

擬人化されたへんないきものたちが面白悲しく、今更ながら、海中にはこんな連中がいるのかと驚かされる。ユカリも、食物連鎖を巡る壮絶な命の戦いを見せつけられ、少しだけ成長していくが、果たしてユカリは人間界へ戻れるのか?

CG(寺西晃・絵)によるイラストも楽しく、奇想天外抱腹絶倒のファンタジーである。



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