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Libro2010インデックス




 

藁の楯/木内一裕

ビーバップハイスクールのきうちかずひろが小説家としてもデビューしていたらしい。まぁ、漫画のストーリーを作れる以上、小説だって書けても不思議はない。

本書は警視庁警護課のSPを主人公としたポリスアクションである。

資産家の孫娘が変質者に虐殺され、怒りに狂った資産家は逃亡中の容疑者を殺害した者に10億の賞金を与えると広告を出す。それを恐れた犯人は早々と出頭するが、賞金は生きていて、続々と殺人者が現れ続けるというとてもサスペンスフルな設定だ。

主人公は妻を亡くし、やや虚無的に生きているSPで、相棒や捜査課の刑事と共に犯人を東京まで無事護送するよう命令される。警官も看護師も一般人も容易に殺人者と化す情況の中、すべての人間が敵になるのである。護送の行程も資産家側にばれており、ネットで追尾され続け、逃避行の様相を帯びてきた護送任務は成功するのか、非常にスリリング。

物語の収め方に好悪があるとしても、面白さとしては超一級であろう。ただ、こういう設定のアクション映画が最近にあったような気がするし、決死の護衛物としてはガントレットがある。主人公の設定はリーサル・ウェポンを思い起こさせるし、かなり既視感のある小説だった。



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