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Libro2010インデックス


大江戸花鳥風月名所めぐり/松田道生

本書は再読で、前回は7年前に江戸の園芸や行楽に興味があって読んだものであるが、今回は野鳥への興味から。著者は野鳥の会関連の方らしく、その方面の著書が多数ある。

花見、蓮見、不忍池のシギ、鶯(上野周辺の鶯は京都から移入したとか)、虫の音、蛍、チドリの声(大勢の人が聞きに出かけるので屋台が出たらしい)、クイナがらみで向島百花園の主・北野鞠塢の馬鹿馬鹿しさ(笑)、コウノトリ、潮干狩り、枯野見、雪見、板橋の鹿などが綴られているが、著者は江戸文化にも造詣が深いようで、東都歳時記、名所江戸百景、江戸名所図会、江戸落語、川柳などを引用しながら、江戸の行楽(中にはとても酔狂なものもある)について詳述している。

水と緑の豊かな田園都市・江戸が彷彿とされて、行ってみてぇなぁ、なんで今に残っていないかなぁと、実に狂おしい気分にさせる。

江戸の人は、おそらくこれらの自然を季節ごとに楽しんでいたのだろう。失われてしまった江戸の風景が悲しくさえも感じられてくる本だ。



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