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Libro,Musica,Planta DIARY(ほぼ読書日記?)


過去の日記


上空からの脅迫/S・L・トンプスン
06/2/27

冷戦下、東西ドイツの軍事境界地域を偵察・諜報活動のために走り回った「奪還チーム」の名ドライバー、マックス・モスの活躍を描いた三部作謀略カーアクションの続編で、足を洗ったマックス・モスは、今回はイスラム過激派のテロとバーチャルな空中戦を行うことになる。

PLOとイスラエルの幹部(親友同士)が、無益な流血を終わらせるためにイスラエルが極秘開発した核兵器を盗み出し、アメリカを脅迫する計画を立てる。マックス・モスは退役後、フロリダで自堕落な日々を送っていたが、元空軍パイロットと親しくなり、飛行免許を取得していた。フリーランスの諜報員としてスカウトされたマックスは、隠れ蓑として父親が経営する電子兵器会社に入り、図らずもバーチャルに遠隔操作する偵察機を軍部に売り込む羽目になるが、それが今作の主要なポイントになるのだった。

冷戦後の世界を盛り込んで新工夫ではあるが(冷戦崩壊以前に書かれたものだという)、なんとなくお手軽感が否めない。マックスがバーチャル飛行する場面は手に汗握るが、どうしても体当たり感に欠ける。2〜3時間興奮に身を置いて、読み終えたらポイ、という感じの出来で、重厚さが足らないように思えた。諜報部の女性との交際も、情事を書き入れるためという感じがしなくもない。








本日の題名のない音楽会
06/2/26

本日の「題名のない音楽会」は、新進女性演奏家特集だった。

アリス=紗良・オットという日独ハーフのピアニストが出演していたが、ややたどたどしいながら流暢な日本語に関西風のイントネーションがあり、母親が関西出身なのだろうかと、音楽とは無縁のことを考えてしまった(笑)。

彼女の演奏によるチャイコフスキーのピアノ協奏曲第一番の演奏はアグレッシブだったなぁ。元来がそういう曲なのかもしれないが・・・。

チャイコフスキーのバイオリン協奏曲は、当時の名バイオリニストに献呈するために書かれた曲らしいが、当のバイオリスニストから「難しすぎる」と拒絶されてしまったという話を聞いたことがある。昨今は才能のある子供バイオリニストでも弾いていたりするのだが・・・。演奏テクニックというのも、時代毎に進歩していくものなのだろう。








エキシビション
06/2/25

フィギュアのエキシビションが行われたが、疲労なのか出し惜しみなのか、あまり大技が出ない。スルツカヤはジャンプが一度もなかったのではないか。やはり体調が悪いのかと思う。病を持つ身で頑張っていることには共感を覚えるが・・・。

エキシビションでのジャンプの転倒がよく見られたが、カクテルライトやスポットライトに照らされたリンクでは思うように滑れないらしい。さもありなん。選手にベストの状態を提供し、ベストの演技を見て貰うのが、対価を払って見に来る観客への義務だと思うのだが、トリノの委員会は違うらしい。

サーシャ・コーエンの演技はわりあい評価が高いが、スパイラルの脚が、一本の棒のようにまっすぐ天を指して、どうもあまり美しくは思えない。二代目貴乃花の、嫌味なくらい真っ直ぐな四股を思い出してしまうのである(笑)。次のオリンピックではコーエンと浅田真央の戦いだろうか。これも楽しみだなぁ。

荒川の演技はさすがチャンピオン、美しさと力強さを兼ね備え、堂々たるものである。観客へのサービスも忘れない。プルシェンコも完璧だったが、どうも荒川より目立とうとしているのが垣間見え、やや品下がって見えた。

カーリング男子決勝は見応えがあった。昨日の三位決定戦とは段違いの技術力だったと思う。フリーズで相手ストーンにピタリと寄せたり、ヒット&ロールで、はじき出した後にきれいに残ったり、自分がはじいた相手ストーンで更に別の相手ストーンをはじき飛ばしたり(ダブルテイクアウト)、変幻自在のコントロールぶりである。カナダのぶっちぎりの優勝だったが、凄い技を堪能した。








金メダル!
06/2/24

やった、荒川金メダル!。会場もスタンディングオベーションだった。コーエンもスルツカヤも完璧ではなかったなか、ただ一人完璧な演技をしてみせた。村主の4位は残念。新採点法では彼女の表現力は評価されないのだろうか。

日本のスケート界も随分変わったものだ。S某とかW某が国内トップでございと大きな顔をしていた2〜30年前、国際大会ではほとんど通用しなかったのである。伊藤みどりが登場した頃から流れが変わったが、それでも、前回のオリンピックでは、動きの悪い操り人形のような恩田が代表だった(当時の恩田に今の力があれば、ぶっちぎりでトップに立っていただろうと思う)。そしてそして、今回の金メダルだ。

次のオリンピックには浅田真央が出てくるだろうが、子供っぽさを捨てて、本格的な大人の演技をして欲しいものだ。サーシャ・コーエンとの戦いになるだろうか。

カーリングの決勝も終わった。日本の予選敗退は残念だったが、決勝はさすがに見応えがあった。駆け引きと精神力と体力が要求されるこのスポーツだが、北欧勢が強いのは、やはりバイキングの末裔だからだろうか(笑)。

カーリングのシューズはどうなっているのかと、見ていていつも思う。スケートのようにツーっと滑っていくかと思うと、一歩一歩あるいているし、いっとき流行ったローラーシューズのように、体重のかけ方で変わるのだろうか。

カーリングは一時的には人気が集まるだろうが、それが持続するだろうか。競技人口が多くなれば優秀な人材も集まりやすくなるはずなのだから、持続して欲しいものだ。フィギュアなどは元々人気競技だし、更にブームになってくるのではないか。

あ〜、今度のオリンピックも堪能した。やはりオリンピックは冬季に限る。








事、これ名馬/宇江佐真理
06/2/23

「頭、拙者を男にして下さい」と、は組の頭・吉蔵のもとへ武家の子供・太郎左右衛門が弟子入り志願してくる。臆病者で覇気がない己を恥じてのことらしい。最初は面食らった吉蔵一家だが、子供の一途さが気に入り、一家で可愛がるようになる。火消しの家族と、その家に出入りする変わった坊っちゃんとの交流を描いた、甘すぎない人情時代小説である。

太郎左右衛門は「春風ぞ吹く」の五郎太の息子で、ヒステリックな母親からすると甲斐性なしに見えるらしいが、その優しさを周りの人から認められてもいる。必死で勉強し、小普請組から御番入りした父親と異なり、剣術も学問も大して目が出ないが、大過なく、平穏無事に生き抜いていけるだろうということで「無事、これ名馬」のタイトルになっている。やはり「春風」の気質だろうか(笑)。妹に「好きよ たろちゃん」などと呼ばれていることからも兄としての権威のなさが読みとれるらしいが、吉蔵一家も「たろちゃん」と呼んで、この子を可愛がるのだ。

太郎左右衛門の友人は学問吟味に落ちて自害しているし、母親は干渉しすぎの教育ママだし、かなり現代の世相を写しているような気がするが、こういう作り方はあまり好きではない。時代物らしい雰囲気を楽しみたいのだが、時代小説というのは、案外昔から現代とリンクさせているような気もする。

吉蔵の娘・お栄は気の強い頑固娘で、従兄の金次郎と恋仲だったが、金次郎が別の娘を妊娠させてしまったため、吉蔵は我が娘に引導を渡し、別の火消しを婿に入れている。未だに金次郎のことを引きずっているお栄だし、金次郎は思わせぶりなことを言うし、決して平穏な夫婦ではないのだが、それでも家庭を守ろうと必死な栄が健気だ。近所の小母さんが認知症となり、栄が手伝いに通うことになるが、このあたりも昨今の介護の問題を思わせる。

太郎左右衛門が成人し、吉蔵が亡くなるまで二人の交流は続くが、年の離れた二人の関係がとても心地よい。辛いこと悲しいことも描かれており、甘いばかりの時代小説ではないのだが、やはり気持ちよい人情物だった。










トリノ雑感
06/2/21

今回のオリンピックでは、スケートの追い抜き(自転車競技からの流用だろう)やスノーボード・クロスなど見慣れない競技を目にするが、モトクロスとスノーボードを合体させたようなスノーボード・クロスは見ていて大変に面白い。アルペンであれをやったらどんな感じになるだろうか(笑)。

新興の派手な競技は、モーグルなどもそうだが、おしなべてアメリカ生まれではないかと思う。アクロバティックな派手さで人目を惹くが、伝統的な競技の、スピードや距離を競うシンプルが持つ重厚な品格がないような気もする。口さがなく言えば、軽躁で下品なのである。もちろん面白さを認識した上でのことだが。

思えば、山野のダートコースを駈けていたモトクロスを人工的な競技場に持ち込んだのがスーパークロスだ。スポーツを派手なアトラクションと化してしまうのが、アメリカ的な思想かもしれない。ほとんど見ないが、ハリウッド映画なんてのも同じだろうか。

カーリングという競技もオリンピックの時くらいしか見られないが、実に面白い競技であり、毎回楽しみだ。一見は氷上のおはじきという感じがするが、氷上のチェスなどという言うらしい。駆け引きの妙味があるからだろう。ボーリングとビリヤードと囲碁を足したような印象である。どこにストーンを置くかで後々の展開が変わってくる訳で、文字通り布石なのだ。日本女子は健闘していたが惜しかったなぁ・・・(マリリン可愛い(笑))。

日本勢は惜しいところでメダルに手が届かない。国の威信を懸けている以上メダルにこだわる姿勢も分からなくはないが、ここは世界の一流選手の美技を楽しみたいと思う。スポーツライターの玉木正之氏が、公式サイトで「メダルがないから特番が少ない、だからテレビからお呼びがかからず、原稿執筆が進むはずなのに何故か進まない」などと書いていたが(笑)。この人は音楽にも造詣が深く、コラムが面白いサイトである。









み火 Fire's Out/日明恩
06/2/20

 

消防士として殉職した父親に反感を持ち、楽して得する地方公務員であるために消防士になったと公言する大山雄大を主人公にした青春ハードボイルド第二弾。口ではそう言いながら、熱い消防魂を持っている痛快な奴なのだ。

前作「鎮火報 Fire's out」は不法滞在外国人問題に絡む放火の謎を解くものだったが、今回はさまざまな親子がテーマになっている。

老人の焼死事故が続発する中。漏電やショートによる失火、趣味の品々が助燃剤となっていることなどが共通し、雄大と、雄大の不倶戴天の敵(笑)・仁藤要は不審を感じていた。現場を訪ね歩き、どうやら失火に見せかけた自殺の輪があるらしいことに気付いた雄大が、事件の真相に迫っていく。

雄大の父親を尊敬している先輩・仁藤要は、体力・判断力・行動力を兼ね備えており、かつてはレスキューサイボーグの異名を取った優秀な消防士である。現場の事故で内勤に回っているが、現場への復帰を望んで常に精進を怠らない。雄大にとって目の上のたんこぶなのだが、深いところで心が繋がっていて、この二人の友情も読みどころだ。

徐々に明らかになる事件の真相が切ない。謎解きの面白さと、青春小説の面白さがない交ぜになっており、さらに社会派的なメッセージも含まれて、実に盛りだくさんな内容である。










スイッチ!
06/2/17

最近、新しい胃薬のCMをよく目にする。何となく聞き覚えのあるのは、医師が風邪薬などを処方する時にくっつけてくる胃荒れ止めに名前が似ているからだ。いわゆる「スイッチOTC」だろうか。ご大層にCMを放送するほどの薬だったのかと思う。或いはそれだけの薬を、胃散くらいのつもりで気軽に服用していたのかもしれない(笑)。

「スイッチOTCのOTCとはオーヴァー・ザ・カウンターの略である」という知識を仕入れたのはかつての名番組カルトQにおいてだった。処方薬が市販薬になることを言うらしい。そういえば某胃薬がスイッチした時に大々的にCMをやっていたが(西村雅彦出演)、あの分野の代表選手になってしまったような感がある。H2ブロッカーという種類の市販薬は沢山あるはずなのに、やはりCMの力は大きいものだ。

スイッチと言えばオール電化生活のCMも面白いけどかまびすしい。どうやらガスとせめぎ合っている感があり、こちらは「まさにガスだね」で対抗している。ミストサウナ編で田村正和が眼鏡をぬぐっているシーンがあるが、「覗いてたのかオッサン!?」などと思わせられなくもない(笑)。





一昨日の「神はサイコロを振らない」は、その回だけの役として鶴見辰吾が出演していた。尾美としのりとは「翔んだカップル」で共演していたし(薬師丸ひろ子が可愛かった)、小林聡美とは金八で一緒だったはず。名子役そろい踏みだ。

金八の時「15才の妊娠」で主役だった鶴見辰吾に比べ、3年B組のその他大勢だった小林聡美だが、今になってみれば立場は逆転しているなぁ。鶴見辰吾とて、金八からの貴重な生き残りには違いないのだが。ここでも「スイッチ」。








正論
06/2/15

時折、住民運動での紛争についてテレビで採り上げていることがある。大体は開発業者との争いなのだが(もちろん合法的な手続きを済ませての開発である)、こういうニュースでの採り上げ方は、住民の味方を装いつつ実はその浅ましさを見世物にしているような気がする。

もの凄い形相(とバカ声)で作業員に詰め寄っていく場面が写されたりするが、作業員は開発業者にやとわれた人間であり、何も関係ないはずだ。「正義は我にあり」と信じ込み、自分たちに一切間違いはないと思いこんでいる姿が醜悪。緑地を保存したければ「開発を止めろ」「行政が買い取れ」ばかりでなく、自分たちが努力するべきではないかと思う。

という自分自身もとある署名運動に関わっているので他人のことはとやかく言えない。正論は大事だが、声高に真正面から叫ぶのではなく、ひっそりと地道に唱え続けていきたいものである。何しろ私の生活信条は「さりげなく」だ(笑)。








ぶそん/伊藤たかみ
06/2/14

同級生でバンドを組んでいる中学生たちの友情と恋を綴るヤングアダルトノベル。主役になるガク(リーダー、ボーカル、サイドギター)とリリイ(ドラムス)が各章を交代に語っているので、一方的ではない描写がされている。

ガンズ&ローゼスに夢中なガクは、やや狷介な性格ながらギブソン・フライングVを持っていてめちゃくちゃギターが上手いという噂のかけるをスカウトしに行く。ベースのマロはかけるを嫌っているのだが、ガクはかけるの超絶テクが必要なので、バンドに加入させてしまうのである。かけるの家は「さやま団地」にあるが、貧困家庭専用なのか、かけるのコンプレックスとして語られている。飲んだくれの祖父や出ていった母など、かけるの家庭は複雑だ。

リリイはガクのことを憎からず思っており、この思いが透奏低音になってところどころ語られているが、このもどかしさが微笑ましい。ガクも同様なのだが、なかなか踏み切れない二人なのである。マロとリリイは仲の良い友人で、それぞれにガクを大切に思っているが、ガクがたけるとじゃれあっているのを二人してやっかんでいる場面など上手いなぁと思う。ガクに「リリイは女って気がしない」と言われて、友達なら嬉しい、女として興味がないと言われたなら悲しいというのも複雑な女心だ。ガクがリリイにギターを教えていて弦が切れ、リリイの耳に撥ねるシーンがあるが、リリイの耳が柔らかかっただけでドキッとするガクである(笑)。

かけるの祖父は、戦争に行けなかったことをコンプレックスにしているような飲んだくれの厄介な爺さんである。マロとかけるはこの祖父のことで喧嘩するが、仲直りの電話をしてこいと祖父さんが三十円を放り出すシーンがいい。祖父さんにとってバンド活動がぎぶそんであり、孫のぎぶそん仲間が大事なのだ。

練習中、全然息が合わないのだが、仲間を思いやって「前よりはええやろが。おれらやったら、これでも十分やって」と言ってみせるガクにフライングVが語りかけるシーンがある。
「こんなぐらいでええねんて、あまっちょろいこといってんちゃうぞ。もっとやらんかい。もっとがんばらんかい。おまえらががんばらんのやったら、おれかってもう協力せえへんからな。おれのこと、だれと思うてんねん・・・」
「おれは、ギブソンやぞ。ギブソンのフライングVやぞ。ええ曲演奏するために生まれてきたんじゃ。ぬるいこというな、ぼけ」

胸のすくような名ぜりふだ。少しふざけながら凄む感じは、ダウンタウンの松本人志にしゃべらせてみたい(笑)。

好きなシーンを書き抜いていったらキリがない。それくらい、コミカルで切なくて微笑ましい小説だ。音楽の喜びを描いている点、かけるの家庭環境など、「ビート・キッズ/風野潮」とかなり重なるのだが、家族が主眼の「ビート・キッズ」に対して、恋愛に比重が置かれている点がやや違うように思う。女子の視点を導入したせいかもしれない。

因みに、フライング因みにフライングVにもっともに合うロッカーはレニー・クラヴィッツなんだそうである。「ロックンロール・イズ・デッド」と歌うレニー・クラヴィッツが大嫌いなハードロックマニアが教えてくれた(笑)。












カランコエ・クイーンローズ
06/2/13

クイーンローズ ひと月ほど前に買ってきたカランコエ・クイーンローズが満開になっている。うちの子はとてもかわいい(←親ばか(笑))。


しばらく暖かい日が続いてありがたい。やっと春の兆しだろうか。園芸店の店頭は春の先取りで、小手毬の開花株やらスズランの開花株やらが並んでいるが、寒空の下では可哀想だ。








踪日記/吾妻ひでお
06/2/12

カルトな人気のあった漫画家が、仕事に行き詰まって二度のホームレス生活を送った実録マンガ。

プライドもなく拾い物をして生活していたかと思うと、手配師にガス工事の下請け会社に送り込まれ、いつの間にかその道のプロになったりしている(しかも親会社の広報紙にマンガを投稿したりしている(笑))。二度とも、警察に連行された際に捜索願が出ていたことから連れ戻されているが、この間の事情を、いつものややとぼけた筆致で描いていて、ファンの刑事からサインを求められたりするのも笑わせる。

駆け出し時代を振り返り、いかに意に染まない仕事をさせられていたかや、アル中になって入院した病院の実態など、ハードなことをコミカルに描き出すあたりがプロの技術か。思えば不条理なギャグマンガはこの人の十八番だったはずだ。

強制的に軍隊じみた生活をさせるアル中病棟、入院患者の中でリーダーになっているT木女史の、集会室でお祈りしている修道服姿の不可解さなど、世の中はやはり不条理だ(笑)。

ホームレス生活というのは、この世とあの世の境目のような、一種マージナルな領域であろう。そういう異界と不条理が実にマッチした傑作である。











トリノ五輪始まる
06/2/11

トリノ冬季オリンピックが始まった。オリンピックは何と言っても冬季のファンなので、嬉しくてたまらない(笑)。札幌オリンピックで日の丸飛行隊が活躍した頃、雪国の長野に居住していたせいだろうか。スキー場でこぶを見つけてはジャンプして楽しんだものだ。

冬季の競技で一番好きなのは、アルペンの滑降とスーパーGだ。100km/hオーバーのスピード感がたまらず、ジャンプのシーンでは、自分の身体が一瞬浮くような錯覚に囚われたりする。もちろんノルディックもフィギュアも楽しみだ。

そういえば、スピードトライアルだったか、急坂を滑り降りて、ただひたすら速度最高記録を競う競技があった。不毛のような気もするし、記録に挑戦する面白さがあるような気もする。ちょっと重量挙げに似ているような・・・。

札幌オリンピックと言えば、トワ・エ・モアが歌った「虹と雪のバラード」が好きだった。希望と明るさと切なさの入り交じった曲だったように思う。佐々木規子の「動物のお医者さん」の中で、天然キャラの菱沼聖子が、彼女に憧れる高校生に「虹と雪のバラード」を歌えるかと、ジェネレーションギャップのネタにしていたのが笑えたっけ。








さぁ何を買おうかな(笑)。
06/2/9

年末にamazon.co.jpで低価格複合プリンターを購入したところポイントが付いたので、CDを物色している。ありがたいよ話ではあるが、結局、更にamazon.co.jpで消費させられることになるのだから、ポイントというのは曲者である。

昨今はいずこの店もポイントカードで客の囲い込みを図るが、これを目当てに同じ店に通うのは、店側の思うツボ子ちゃんなのだろうなぁ・・・(笑)。

で、通常3〜4日で発送という商品を注文してみたのだが、どうも発送が一週間後くらいになりそうで、それなら近所で入手できるし、ついキャンセルしてしまった。amazon.co.jpでは、激安の輸入盤とか、そこでしか入手できないものが欲しいのである。

で、何にしようか幸せな思案中(笑)。








やっつけ仕事で八方ふさがり/ジャネット・イヴァノビッチ
6/2/7

リストラされたバツイチ三十路女・ステファニーがバウンティ・ハンター(保釈保証強制執行人)に転職。まわりを迷惑の渦にたたき込みながら、ドタバタとかけずり回るユーモア・ハードボイルドの八作目である。

今回ステファニーは、隣家に住む老女メイベルから、孫のイーブリンが娘のアニーと共に行方不明になっている件について相談され、慣れない私立探偵仕事に乗り出す。イーヴリンは、離婚したDV夫との間で児童監護保証契約をしており、面接権を反故にすると違約金を支払わなければならず、卑劣な元夫がメイベルを脅かしているのだ。

イーヴリンの行方を捜し始めたステファニーに、元夫のバーの共同経営者だという変質者(戦争ゲームマニア)アブルッツィが威しをかけ始め、その部下の不気味な着ぐるみウサギに追い回される羽目になる。

毎度ドタバタな展開なのだが、今回はステファニー自身の活躍が余り見られず残念。わりあい悲惨な話だし、ステファニーは二人の頼れる男に全てを任せてしまった形だし、不完全燃焼の感だった。すっとんきょうな弁護士が笑えたが(笑)。








鳩のジョーンズ・お城のエヴァンス
/2/5

符丁というのか、その世界で通用する独特の言い回しがある。ジャズの世界で「お城のエヴァンス」「鳩のサド・ジョーンズ」などと言ったりするようだが、「うちら」的な嫌らしさがあって、何か鼻持ちならない感じがする。と言うより、まだこういう言い回しが通用しているのだろうか。何となく60年代的な、あか抜けないセンスに感じられてしまう。

とあるPC関連のサポートで、256MBメモリのことを「ニゴロ」と言われ、初めてだったので戸惑ったことがある。「ニゴロ」などと言われるとにごろ鮒を思い出してしまうのだが(笑)。業界によっていろいろな言い方があるものだ。

業界の符丁を業界外の人間が使うのはかっこ悪いと書いていたのは池波正太郎であるが、これは分かるような気がする。患者が医者に対して「オペ」などとは、普通は恥ずかしくて言えないと思うのだが、言ってしまう人間が身近にいるのである(笑)。

逆もまた真なりで、業界用語を視聴者に向かって話す芸能人などは頂けない。ましてやTBSのアナウンサーが「CX」などと言ったりしてはいけないのだった。プロ意識の欠如と思われても仕方ないと思う。

折角なので、「鳩のジョーンズ」と「お城のエヴァンス」を並べてみました(笑)。











無威おとめ組/米村圭伍
/2/4

紅無威で「くれない」と読む。相変わらず軽妙で滑稽な時代サスペンス。

松平定信が実権を握った時代、田沼が作った埋め立て地の歓楽街が取り壊されることになった。軽業一座の主がこれに反抗して殺され、一座の花形娘小蝶が敵討ちとばかりに定信の首を付け狙う。

下屋敷に侵入し、見事棒手裏剣を命中させるもこれが定信の替え玉で、失敗して遁走。定信の屋敷を見張っていたらしい妙な一団に拉致されるが、義賊を名乗る頭目の色男にヘロヘロになって、闇夜団入りする小蝶であった。

発明好きの薄幸の遊女や美貌の女剣士など交え、二転三転するストーリーは、痛快なエンディングまで、落語のような語り口で快調である。

田沼の娘(妾腹)の連れ合いで、冬山大次郎という剣豪が登場し、各章にはチャーリーズ・エンジェル風の三人娘のシルエットをあしらうなど、ギャグも楽しい。跳ねっ返りでおっちょこちょいの小蝶は笠森お仙のキャラを思わせてちょっと嬉しかった(笑)。












神はサイコロを振らない
/2/2

日本テレビ系列で放送中の連続ドラマ「神はサイコロを振らない」を見ている。10年前、航行中に乗員乗客ごと消え失せた旅客機が時空の狭間を通って現在に現れたというSF的設定だが、死者として心の中の整理を付けた被害者の家族たちに波紋を起こしてサスペンスフルだ。

10年前の姿で現れた恋人や親友に戸惑う中年一歩手前の女性・ヤス子を小林聡美が好演している。10年前の流行が折々にはさまれるが、「きんさんぎんさん」も「だっちゅーの」も10年前だったのかと思う。光陰矢のごとしだなぁ・・・。

かつての親友を演じているのはともさかりえだが、無事勤め上げることだけを考えているヤス子に、イケイケだった10年前を思い出せと迫るのである。そんなこと言われてもなぁ、と大人の感覚で考えるヤス子の気持もよく分かる。この二人、以前に「スイカ」というドラマでも共演していたが相性がいいのか。

ヤス子は事故当時、支援対策室で乗客家族との折衝に当たっていたが、家族側の代表を演じているのが尾美としのりである。何と名作「転校生」のコンビではないか。この二人、もう少しからめば面白いのに・・・。

それにしても小林聡美はいい女優だ。飛び抜けて美人という訳ではなく、等身大の女性を演じられるように思う。コメディもシリアスもこなせる。子役出身はなかなか大成しないが、金八出身では一番活躍しているのではないだろうか。杉田かおるという例もあるが・・・(笑)。

原作者は大石英司だが、この作家、いっとき新書ノベルズで流行したバーチャル戦記小説の書き手ではなかったろうか。こんなSFも書くのね、という感じだ。旅客機が消え失せた時、時空を通って10年後に現れると主張した物理学者(大杉漣が不気味(笑))が、今度は10日後に元の時空に戻るために現在から消失すると予言している。「戻ってきた死者」「タイムリミットのある復活」が人々に波紋を投げかけるという設定は、梶尾真治の「黄泉がえり」に酷似しているような気がするがどうなのだろう。








戸内の民俗誌/沖浦和光
/2/1

瀬戸内海の海民の子孫である著者が、古代より卑賤視されてきた海民の歴史と実情を語る。家船を始め、隆慶一郎の諸作に登場するような「道々の輩」とも重なる非定住民の世界は、とても歴史的なロマンをかき立てられる。

農耕のできないような狭い土地で漁をして暮らし、それも権利があったりして自由には捕れない。それで通行船を襲うようになったのが海賊の始まりであるらしい。藤原住友を描いた「絶海にあらず」にも出てきた越智水軍→河野水軍→村上水軍の流れなど、まさに歴史伝奇の趣だ。河野水軍の祖は、越智一族の長が越の地に置いてきた忘れ形見である、などという伝説も興味深い。踊り念仏の一遍の出自も河野氏であるらしい。殺生をするからと当時の仏教から排斥されていた海民山民に救いをもたらしたのが一向宗であるなら、何か因縁を感じさせる話である。

瀬戸内の海民には「阿曇系」「宗像系」「住吉系」「隼人系」があるそうで、これらの蛇信仰と、河野氏の蛇婚姻伝説とが重なって、否が応にも歴史ロマンがかき立てられる。蛇の入れ墨を入れるという海民の習俗は、元々江南から入ってきたものではないかという。

中世には、警護・傭兵などを業務としていた水軍は、秀吉の海賊停止令によって解体に追い込まれ、そして、被差別階級へ落とされていったのではないかというのが著者の推論だ。そして遊女をのせた船「おちょろ船」の悲しい記述で幕を閉じる。農耕民ではないと言う理由で卑賤視されてきた瀬戸内海民がつぶさに語られていた。

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