中学生の頃に読み始めた山本周五郎や司馬遼太郎がこの分野の手始めでした。
評論家の北上次郎氏は、現代では描き得ない濃厚な人間関係を時代小説の魅力として
あげていますが、昨今はむしろ現代とリンクさせたような作品が多いようにも思えます。
時代の雰囲気たっぷりの人情小説や波瀾万丈なチャンバラ小説が読みたいと思う次第です。
最近は武侠小説や三国志など、中国物の面白さにも目覚めてしまいました。こちら方面も楽しみです。
お勧めの時代小説を作家名の50音順にリストにしてみました。
表中の下線のあるタイトルは、ブログ或いは日記へリンクしています。
作 家 名 | 作 品 名 | 備 考 | |
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浅田 次郎 | 壬生義士伝(上・下) | 生活のために新選組に入隊した南部藩士吉村貫一郎の、義を貫き通した生涯。夫婦愛や家族愛や幼い日の友情が思いっきりクサイです(笑)。 | |
天切り松闇語り 闇の義賊 | 元伝説の夜盗が留置場内で語る目細の安吉一家の痛快な逸話。大正モダニズムを背景に、泣かせて笑わせる人情ピカレスクロマンです。続編「天切り松闇語り 残侠」「天切り松闇語り 初湯千両」 | ||
荒山 徹 | 魔岩伝説 | 朝鮮通信使に隠された徳川政権の謎。若き日の遠山の金さんが奮闘する波瀾万丈伝奇物語。 | |
飯嶋 和一 | 雷電本紀 | 有力藩のお抱え力士による馴れ合いの相撲にガチンコ勝負を持ち込んだ雷電と、友人の商人の清々しい交流を描いています。 | |
神無き月十三番目の夜 | 江戸開幕直後の不穏な時代、帰農した元佐竹藩士が一村消失事件の謎を探るミステリアスな時代長編。 | ||
始祖鳥記 | 空を飛ぶことに憑かれてカラクリをこしらえ続ける指物師と、塩事業の癒着構造を破壊しようと戦う商人達をからめて、夢と希望を描いた時代小説です。 | ||
黄金旅風 | 長崎奉行の不正と戦う元不良少年の商人。不良仲間の火消しとの友情が切なく快い長編。 | ||
池波 正太郎 | 鬼平犯科帳 | 言わずと知れた人気シリーズ。厳しさと人情の両方を併せ持つ長谷川平蔵のキャラがたまりません。 | |
池宮 彰一郎 | 四十七人の刺客 | 赤穂浪士討ち入りをスリリングな謀略戦として描き、話題を呼んだ新機軸の忠臣蔵。 | |
岩井 三四二 | 竹千代を盗め | 桶狭間後、松平元康(後の徳川家康)が今川から離反し始めた頃、甲賀の二流忍び伴一族に、今川の人質になっている元康の妻子を救出せよと言う依頼があります。 分家から本家の婿に入ったダメ忍者の奮闘ぶりが楽しく切ない、ユーモラスな戦国時代小説。 | |
宇江佐 真理 | 幻の声 | 髪結い伊三次捕り物余話第一巻。伝法な同心の小者を勤める伊三次の捕り物と私生活を瑞々しく描いています。続編「紫紺のつばめ」「さらば深川」「さんだらぽっち」「黒く塗れ」「君を乗せる舟」。 | |
斬られ権佐 | ボロボロの体で十手持ちを勤める権佐と恋女房の女医と愛娘の、しみじみと暖かい家族愛。 | ||
春風ぞ吹く | 副題「代書屋五郎太参る」小普請組(無役)の家から御番入りを目指して奮闘する五郎太の恋と青春。 | ||
無事、これ名馬 | 「頭、拙者を男にして下さい」。火消しの頭に弟子入り志願した武家のお坊ちゃんと、は組の 頭・吉蔵一家との交流を、哀歓をからめて情緒たっぷりに描いています。 | ||
深尾くれない | 貧相な容貌にコンプレックスを持つ剣士の、牡丹への偏執的な愛着と、娘への屈折した愛情。幸福なだけが小説ではないのだと思わせま す。 | ||
卵のふわふわ | 娘心に憧れていた夫は狷介な性格で、おびえて暮らす主人公ですが、無邪気で飄然とした舅に救われています。食味と人情をからめた傑 作。 | ||
玄冶店の女 | 囲い者だったり、芸者だったりする日陰の身の女たちが登場人物ですが、それぞれ強くたくましく生きています。意地を張り合う彼女たち
の友情が気持ちよく、また痛快でもあります。 それぞれに重要な転機があり、決して明るい未来だけが待っている訳ではなさそうですが、ただ明朗なハッピーエンドよりも趣き深いというもので、辛口のハッ ピーエンドという感じでしょう。「あばえ」という別れの挨拶に彼女らの気概がにじむように思いました。 |
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宇月原 晴明 | 黎明に叛く者 | 戦国の梟雄斎藤道三と松永久秀は、共に呪術的暗殺教団から逃げ出してきたという設定で、輝く日輪を目指した道三と、日輪を徹底的に邪魔する(黎明に叛く)方向に向かった久秀を描いた時代ファンタジー。兄貴分の道三を慕う久秀が切のうございます。 | |
安徳天皇漂海記 | 幼くして海に沈んだ安徳帝は、神器に包まれ、無邪気な怒りをたぎらせながら眠り続けていた。黄金の繭玉に包まれた安徳に魅了される三代将軍実朝やらマルコポーロやらが絡む、壮大な伝奇ファンタジー。 | ||
海老沢 泰久 | 青い空 | 先祖がキリシタンであったために、監視され差別される「類族」の青年が、江戸に出て新しい人生を始めようとします。寺請制度など、幕 末・明治の宗教政策がいい加減さがこれでもかという感じで書かれていますが、それでもたくましく生きていく青年に好感が持てます。 | |
海道 龍一朗 | 真剣 | 新陰流の創始者、上泉伊勢守信綱の生涯を描いた剣豪小説。乱世を生きる好漢たちの、高潔な魂の熱いせめぎ合いが心地ようございます。 | |
乱世疾走 | 副題「禁中御庭者奇譚」。帝に乱世の実情を伝えるために異能を持つ若者たちが集められます。ちと頼りないながら(笑)、彼らの真剣な 奮闘を描いて痛快です。 | ||
北方 謙三 | 楊家将(上・下) | 北漢の時代、半独立的な軍閥として有能すぎた故に政権に疎まれた楊一族の、誇り高きいくさ人の生き方を描く中国史戦記小説。 | |
三国志(全十三巻) | 何も言いますまい(笑)。乱世を生きた漢たちの物語にただ感動するばかりです。 | ||
波王の秋(はおうのと き) | 第三次元寇を防ぐため、国を超えた熱い絆で結ばれた水軍を描いていて、海戦描写が迫力満点です。 | ||
武王の門 | 九州に派遣された後醍醐天皇の皇子の戦い。 | ||
破軍の星 | 南朝方として東北を従えた若き貴公子北畠顕家の、足利尊氏との果敢な戦い。 | ||
絶海にあらず | 海の自由を守るために戦う藤原純友を主人公とする歴史長編。単純な海賊という感じではありません。 | ||
京極 夏彦 | 巷説百物語 | 暗闇の世界に生きる小股潜りの又市一味が、ひとの業が引き起こす怪異な事件を解決する時代妖怪ミステリー。 | |
後巷説百物語 | シリーズ第二巻 | ||
続巷説百物語 | 舞台を明治に移し、又市一味に関わりのあった百介老人が若い者に一味の活躍を語って聞かせます。 | ||
嗤う伊右衛門 | 実直な浪人伊右衛門と、顔に病の跡を持つ岩の、報われない愛を描いた時代ホラー純愛小説。 | ||
紀和 鏡 | 夢熊野 | 源平盛衰と宗教王国である熊野との関わりを、地母神というべき女性を中心に描いた歴史ロマン。伝奇風味もたっぷりです。 | |
小林 恭二 | 本朝聊斎志異 | 中国の古典幻想小説を日本の歴史上に翻案した時代ファンタジー。何とも言えない幽玄な雰囲気があります。 | |
宇田川心中 | 輪廻を重ねる恋人たちと、恋の成就を邪魔したい怨念を描いた時代ファンタジー | ||
酒見 賢一 | 泣き虫弱虫諸葛孔明 | 諸 葛亮孔明は本当に名軍師なのか!?自ら臥龍伝説を流布しつつ雌伏している孔明が三顧の礼で迎えられるまでを描いた、換骨奪胎の三国志(笑)。三国志の矛盾 にツッコミを入れまくっていますが、劉備のことを、天才的な魔性の勘で危機を生き抜いてきた戦下手と評しているのが笑えます。 | |
佐藤 賢一 | 傭兵ピエール | 中世ヨーロッパを舞台にしつつ、骨格は痛快な時代小説。傭兵にも野盗にもなる野武士集団を束ねるピエールの活躍を、ジャンヌ・ダルク をからめて描いています。波瀾万丈です。 | |
王妃の離婚 | フランス王家の離婚裁判で、圧倒的に不利な王妃の弁護を買って出た聖職者の活躍を描く西洋時代法廷小説。 | ||
褐色の文豪 | 文豪デュマの父親を描いた「黒い悪魔」続編。片田舎から上京した好人物のデュマが、 文豪として出世し、駆け抜けていった痛快な人生を描いています。 | ||
佐藤 雅美 | 幽斎玄旨 | 戦国武将の中では最も好きな人物である細川幽斎を描いた歴史小説です。雅の道に秀で、武略に優れ、時代を読む目を持つ、スーパーマル チな才能の持ち主であるあたりに魅了されます。 足利幕府の中枢を担い、信長、秀吉、家康と、見事に勝ち馬に乗り続けた炯眼の主という感じも致します。 変節漢という風聞もあるようですが、戦国時代はサバイバルですから、誰に責めることができましょうや(笑)。 | |
司馬 遼太郎 | 国盗り物語 | 司馬作品に関しては、熱烈な読者というわけではないのですが、この作品は歴 史の面白さを伝えてくれました。混沌とした中世に合理性を持ち込んだ斎藤道三、その後継者と言うべき織田信長の二人の武将を描いて、戦国のダイナミズムを 感じさせてくれました。ただ、私は、政治や宗教や芸能が渾然一体となった中性的な混沌に激しく魅了される者でもあります(笑)。 | |
燃えよ剣 | バラガキのトシと呼ばれた不良少年が、組織と用兵に優れた指導者土方歳三になるまでを描いていて、一種の剣客小説と言えるかもしれま せん(失敬な、などと怒らないでくださいませ(笑))。 | ||
清水 義範 | 金鯱の夢 | 関ヶ原で西軍が勝利し、豊臣幕府が開かれた!奇想に溢れたバーチャル時代小説。 | |
尾張春風伝 | 将軍吉宗の享保の改革に異を立て、のほほんと贅沢三昧にふけってみせた尾張藩主宗春を描いています。現在の戸山ハイツのあたりが尾張 藩下屋敷ですが、庭園内に東海道五十三次のテーマパークもどきをこしらえてしまったという話です。 | ||
白石 一郎 | 海狼伝 | 村上水軍の船乗りの青年の成長を描いた時代冒険青春小説の傑作!続編「海王伝」。 | |
戦鬼たちの海 | 海賊大名九鬼嘉隆が、信長の水軍となって活躍するさまを描いた時代海洋小説。 | ||
多島斗志之 | 海賊モア船長の遍歴 | 失意のどん底にあった船乗りがひょんなことから海賊船の船長になってしまいますが、自分は適任だろうかと悩みます(笑)。風変わりな 西洋時代小説 | |
田中 芳樹 | 天竺熱風録 | 唐の太宗の時代、西域担当外交官として天竺に赴いた王玄策の大活躍を描いています。異常事態に能力を発揮した官僚の、胸のすくような 痛快さ、という感じでしょうか。講談調の文体が面白いです。 | |
辻原 登 | 翔べ麒麟 | 阿倍仲麻呂が重きを為す唐に派遣された一行の護衛士を務める藤原真幸(ふじわらのまさき)の恋と冒険を描いています。東洋版三銃士と いう感じでしょうか。 | |
東郷 隆 | 狙うて候 | 副題「銃豪村田経芳の生涯」。村田式歩兵銃を考案した薩摩藩士の一代記。合理的な機械を追究し続けた技術者魂という感じが致します。 | |
洛中の露 | 秀吉に可愛がられたために徳川幕府をはばかり、京都に逼塞して茶人として生きる金森宗和が遭遇するミステリアスな事件。時代茶道ミス テリーという感じです。 | ||
猿若の舞 | 徳川体制が固まろうとしていた時代、新たな芸能を模索する初代中村勘三郎を描いた芸道時代小説です。相棒山屋三郎との友情が気持ちよ うございますが、中世が終わり芸能も徳川の管理体制に否応なく巻き込まれて行く、そのあたりの政治的な動きも興味深うございました。 | ||
戸部 新十郎 | 服部半蔵 | 伊賀の頭領である服部半蔵が、この世の外から家康の政権奪りに協力する様を描いた時代小説。歴史を陰から動かす者として戦国武将たち と関わるあたりが興味深うございます。 | |
畠中 恵 | しゃばけ | 病弱な若旦那が、妖(あやかし)たちの協力を得て、奇妙な連続殺人事件を解決する軽妙な妖怪ファンタジー。続編「ぬしさまへ(前作よりもぐっと深みが増しています)」。「ねこのばば」。「おまけのこ」。 | |
花家 圭太郎 | 暴れ影法師 | おおぼら吹きで剣では凄腕の小十郎は、幕閣の重鎮土井利勝ともツーカーな仲の不思議な風来坊ですが、旧恩のある佐竹藩のためにとんで もない計画を仕掛けるのでした。痛快時代長編。 | |
荒舞(あらまい) | 同第二弾。 | ||
乱舞(みだれまい) | 同第三弾。 | ||
群青遙かなり | 愛妻に横恋慕する藩主の襲撃に国を抜け出し、大友宗麟の保護を受けることになった乾主水と、スペインの侵攻からポルトガルを守ろうと した貴族カルロス(無敵男爵の異名を取る)がゴアで出会います。東西の二人の快男児を描いた戦国小説。 | ||
青き剣舞 | 佐竹藩の、仲の良い冷飯(武家の次三男坊)たちにふりかかる人生の転変を描いた 時代青春(のしっぽ)小説。青春の苦悩や焦燥や友情がよく描かれています。 | ||
平岩 弓枝 | 平安妖異伝 | 藤原道長が遭遇する怪異な事件を楽人の少年が祓っていきます。剛毅な道長や神寂びた不思議な少年の人物描写が良く、顧みられない楽器 の悲しみ、魔の不気味さなどの雰囲気も出ています。情緒たっぷりの平安ファンタジー。続編「道長の冒険」。 | |
藤沢 周平 | 用心棒日月抄 | 藩で内紛が起こるたびに脱藩して内情を探らされる羽目になる青江又八郎は、食い扶持稼ぎに雇われ用心棒になるのでした。又八郎自身の 事情と事件を併せて描く時代ハードボイルドという感じでしょうか。 | |
孤剣 | 同シリーズ第二弾。 | ||
刺客 | 同シリーズ第三弾。 | ||
凶刃 | 同シリーズ第四弾長編。 | ||
宝珠 なつめ | くちなわひめ | 腕は立つのに大酒飲みで、酒さえあれば何もいらないという食い詰め浪人が妖異退治に活躍します。彼をどこかのご落胤と信じて一途に慕 う妄想少女が意地らしい(笑)。 | |
松井 今朝子 | 仲蔵狂乱 | 芝居者の夫婦に引き取られた親なし子が、容貌と舞の所作を武器に役者として成り上がっていく芸道小説。新しい山崎定九郎を作り上げた 中村仲蔵の破天荒なド根性一代記。 | |
銀座開化事件帖 | 「幕 末あどれさん」の続編。幕末の騒動で燃え尽きた久保田宗八郎は、新時代に馴染めず、かと言って江戸の世には戻れずに鬱々としています。時流に乗った兄の手 配で住まいすることになった銀座の煉瓦長屋で、新しい時代の(やや軽薄な)若者たちと出会い、徐々に世の中と関わっていくことになるのでした。半世捨て人 の宗八郎ですが、このままでは終わりたくないとも思っておりまして、新時代の乙女との心の交流などまことに情緒纏綿です。元八丁堀与力のクリスチャンで、 原胤昭という若者が登場しますが、実在の人物だったそうで、脇役も面白うございました。 | ||
三雲 岳斗 | カーマロカ 将門異聞 | 討ち取られたはずの平将門が生きていて逃亡中という設定のバーチャル平安時代小説。陽性の剽悍な快男児である将門が魅力的ですが、彼 に向けて殺到する敵方(将 門のいとこ貞盛、陰陽師の貴公子、信濃のまつろわぬ一族、ターミネターのような僧兵など)も様々な事情を抱えて、物語を複雑に膨らませます。戦い、ユーモ ア、人物の魅力、愛憎半ばする男たちの思い、何とはなしに流れる哀切な情緒、ほんの少しのファンタジー性など、なかなか読ませる爽快な物語でした。 | |
宮城谷 昌光 | 重耳 | 人格に秀でた者が、頼りになる仲間を得て大業を成就するのが宮城谷作品の魅力で
す。膨大な作品群ですが、とりあえずこの作品を挙げておきます。妖婦にたぶらかされた父親に疎まれ、流浪しながら成長し、ついに自分の国に凱旋した晋の文
公を描いた中国歴史長編。続編「沙中の回廊」。 「孟嘗君」「晏子」「太公望」も同様に面白うございます。 |
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宮本 昌孝 | 剣豪将軍義輝 | 弱体著しい足利幕府の将軍となった義輝の時代成長小説。回国修行で剣の奥義を身につけていくあたりは「若様お忍び漫遊記」という感じ でしょうか(笑)。 | |
藩校早春賦 | 藩の内紛に関わってしまった仲良し三人組の時代明朗青春小説。純粋な友情がまぶしい(笑)。続編「夏雲あがれ」。青雲の志を描くのが 上手い作家だと思います。「夕立太平記」も同様に楽しい明朗時代小説。 | ||
村田 喜代子 | お化けだぞう | 商家の隠居夫婦(本草学マニア)が、珍奇な植物を求めてあちこち探訪する時代園芸小説(笑)。 | |
諸田 玲子 | お鳥見女房 | 幕府の下級役人お鳥見役矢島伴之助の妻珠世が、任務で長期に留守をしている夫を心配しつつ、持ち前の優しさとたくましさで家を守る姿 を、江戸の情緒をからめて描いています。しみじみと暖かい時代小説。続編「蛍の行方」「鷹姫さま」 | |
こんちき | あくじゃれ瓢六続編。反骨精神の小悪党が、意気に感じて無骨な八丁堀同心に協力する痛快時代連作。弱きを助け強くをくじく、悪党一味 の心意気です。 | ||
山本 兼一 | 火天の城 | 安土城築城にまつわる、職人たちの人間ドラマ。 | |
山本 周五郎 | さぶ | 経師屋で徒弟奉公をしてきた栄二とさぶの、友情や成長や苦難や再生を描いた時代小説。機転が利いて腕もある栄二と、不器用で実直で 真っ正直なさぶが対比して描かれます。さぶの面倒を見ているつもりの栄二でしたが、人生の試練に放り込まれたことでさぶに感謝することになります。 | |
山田 正紀 | 早春賦 | 戦国の気風が残る江戸初期、半士半農の八王子千人同心内に起こった抗争にからめて 十七才の風一たちの成長を描いた、爽快な時代青春小説です | |
米村 圭伍 | 風流冷飯伝 | 四国の小藩風見藩の飄々とした冷飯(次男三男などで、家を継げない武家の男子)が楽しい明朗時代小説。地の文も落語のようにのほほん としています。「退屈姫君伝」「錦絵双花伝(文庫化で「面影小町伝」に改題)」「おんみつ蜜姫」「退屈姫君海を渡る」など、舞台と登場 人物を少しずつ違えた作品もあります。 | |
紅無威おとめ組 | 見せしめに殺された親方の仇討ちを狙うおっちょこちょいの軽業娘を主人公にした、軽妙な時代サスペンスです。 | ||
隆 慶一郎 | 吉原御免状 | 色町とは仮の姿、中世の自由な流浪民「傀儡」の砦である吉原を潰そうとする幕府と、吉原を守りたい剣豪松永誠一郎の暗闘を描く波瀾万 丈の伝奇時代小説。続編「隠れ里苦界行」。 | |
一夢庵風流記 | 前田利家の縁戚になる、傾奇者(かぶきもの)前田慶次郎の一代記。武勇に優れ、教養もある、匂うような男ぶりの快男児が痛快です。男 が惚れる男という感じでしょうか。 |
作 家 名 | 作 品 名 | 備 考 |
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金 庸 | 書剣恩仇録 | 文字で読むカンフー映画のような金庸の武侠小説のファンです。義侠心厚い武術の達人たちの物語は波瀾万丈で大興奮。「書剣恩仇録」 は、滅清興漢を唱える秘密結社紅花会の活躍を描いたものです。 |
神G剣侠 | ネットでお世話になっている長尾武之介さんが 金庸作品の中ではもっとも好きだとおっしゃる一冊です。不幸な生まれ故にひねくれて育った少年が、型破りな武術の達人になっていく成長小説であり、切ない 恋愛小説でもあります。「射G英雄伝」の続編。 | |
A・デュマ | ダルタニャン物語 | ご存じ「三銃士」とそれに続く大河長編小説(全11巻)ですが、剣戟あり、恋あり、陰謀あり、波瀾万丈の活劇小説でございます。 |